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野球を科学する (障害編 Vol 3)
野球肘[3]



           



野球肘の3回目。今回は外側型について書いてみたいと思います。
外側型は、上腕骨小頭離断性骨軟骨炎、肘離断性骨軟骨炎、上腕骨小頭骨軟骨障害とも呼ばれ、小学校高学年から中学校低学年に初発することが多く、野球肘外側型障害の代表的なものです。
繰り返す投球動作における外反ストレス(野球肘Vol1、Vol2参照)により、上腕骨小頭(肘関節を形成する上腕骨の遠位端の外側部の球状の部位)の骨軟骨が変性、壊死(組織が生きて行けなくなること)を生じるもので、病名に「炎」とありますが実際には炎症性の疾患ではありません。

症状としては、肘関節の運動時痛(伸展・屈曲時に生じる痛み)や可動域制限(動きの制限)が主な症状です。
症状が進行すると、病巣部の骨軟骨片が遊離して関節内遊離体(関節内を移動する状態になることで、関節ねずみとも呼ばれます)になると、引っ掛かり感やロッキング(遊離体が関節の中に挟まり、肘関節がある角度で動かなくなること)を来し、滑膜炎と呼ばれる関節内の炎症を起こすこともあります。

上述の症状に加え、上腕骨小頭部(肘関節の外側部)の圧痛があるケースでは本疾患を疑います。
確定診断はレントゲン撮影により行います。病巣は、初期には透亮像(骨の陰が薄くなった状態)
進行すると分離像、遊離像(病巣部の骨軟骨片が上腕骨小頭から分離、剥がれる状態)として撮影されます。
しかし、初期には病変を認識することが難しいこともあります。また、一般に行われる肘関節2方向撮影(正面と側面)では病巣を描出しにくいことが多く、本疾患を疑った時には、CTやMRIが診断や病態を調べるのに有効です。

本疾患はレントゲンによる病巣の状態により(1)透亮期、(2)分離期、(3)遊離期の3つの病期に分けられます。しかし、レントゲンの所見と実際の病態は必ずしも一致せず早期発見のためにはレントゲンだけではなく、CT,MRIによる撮影診断をお勧めいたします。


          上腕骨小頭離断性骨軟骨炎進行図

      
      (画像が見にくいため画像をクリックしてご覧下さい)






     

,硫菫は当院に来院された、外側型野球肘、上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の選手のレントゲン画像であります。一見すると、内側型に思えるのですが、圧痛は外側にあり、画像の○印が付いている骨の面も、多少デコボコしているのが判別出来ると思います。




     




     



画像↓については、,離譽鵐肇殴鷸1討鬚靴秦手のMRI画像であります。上記の、「上腕骨小頭離断性骨軟骨炎」の進行図にある透亮期であるのがご理解頂けると思います。
MRI画像で、△良汁悗肋さく、の深層に至ってはかなり透亮の面積が広くなっているのが分かり、おそらく分離する一歩手前だったのではないかと思います。
この選手は、半年間以上、一切の投球を行わず復帰したのでありますが、野球肘の場合、早期発見、早期治療が復帰の早道ですし、将来に障害を残さないためにも痛みを感じたらすぐに、専門の病院を受診する事をお勧めいたします。

ただ、,鮓ても分かるように、「レントゲン写真は問題ありません。」というような状況でも、MRI画像では異常を発見する場合があります。
出来れば、スポーツ障害に詳しい所に受診される事をお勧めいたします。


次回は野球肘の治療前と治療後の画像を中心に書いてみたいと思います。




カテゴリ:スポーツ障害 | 19:01 |