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[症例画像紹介] 外骨腫
 
  【偶然発見した外骨腫】



長年この仕事をしておりますと、予想外。という事に出くわすのは多いのでありまして、偶然に発見したりすると、驚きや安堵に包まれたりするのであります。折に触れ、述べてみたいと思う次第です。


・・・ある時、20代の男性が足首を捻じって来院したのでありました。
待合室から入ってくるだけでも足を着ける事が出来ず、(いわゆるケンケンであり)疼痛に顔を歪める状態でありました。
ベットに上がってもらい診たところ、、、腫脹が強く腓骨下端部分に圧痛が強く、脛骨と腓骨が開いている状況だったのです。

。。。。これは骨折やなぁ〜。。。。。。即座にそう思った私、

「これは折れてると思いますよ。脛骨と腓骨も離れているように思いますから、靭帯損傷、もしくは断裂があるかも。とにかく写真を撮りましょう。」
そう言って、提携先の病院にCT撮影を依頼したのでありました。

自分の考えでは腓骨下端骨折。以下のような画像を想像したのであります。




 (腓骨下端骨折 画像1)





 (腓骨下端骨折画像2)





 (腓骨下端骨折画像3)


提携先に連絡を入れると当日、1時間後くらいに撮影可能という連絡を受け、そのまま撮影に向かってもらったのでありました。取りあえず、撮影後はそのまま当院に帰ってきてもらい整復・固定という状況を考えていたのです。
「骨片の転移が少なければエエんやけどなぁ〜。」 従業員と話していたのでありました。

診療時間終了間際、画像の入ったCDを持参して先ほどの患者さんが再来院し、撮影された画像がPCに浮かび上がったところ、、、

「なんじゃこりゃ!!」 一目見て驚いたのでありました。




 (外骨腫画像1)






 (外骨腫画像2)






 (外骨腫画像3)




。。。。そりゃ、脛骨と腓骨は離れるわな。。。。
脛骨と接する部分で大きくなった、腓骨の外骨腫が2つの骨を押し広げているのでありまして、恐らく、10代で発生した外骨腫が少しずつ大きくなったと考えられ、脛骨と腓骨を繋ぐ靭帯は伸びきった状態なんでありましょう。

「そういえば、、、今まで何度か足首は捻った事がありますわ。」
外骨腫のある足関節は、腫瘍により靭帯が伸びた状況であるため固定力が弱く何度も捻じった状況だったのでしょうが、それでも、今回CTを撮影したため発見された訳で、、、

。。。。レントゲンだけにしなくて良かったわ。。。。
つくづくそう思った瞬間でありました。

外骨腫には今までも何度も遭遇しており、それも10代の運動選手が多かったのでありますが、すべて皮膚表面から触れる事が出来る。そもそも、「骨が腫れてきた。」という状況で来院しますから、本人が自覚して、心配になって来院。という図式であり、「これは腫瘍やから、恐らく良性やと思うけど、ただちに大きな病院に行って精密な検査をして。」いつも言う事でありました。

そもそも、外骨腫とは、骨軟骨腫とも呼ばれ良性の骨腫瘍のひとつであります。骨の表面から外側へ「こぶ」状に骨が飛び出したもので、その表面は軟骨組織でおおわれています。全体的な形から外骨腫と呼ばれるのですが、表面をおおっている軟骨は、骨性の「こぶ」が帽子をかぶったようにみえるので軟骨帽(なんこつぼう)と呼ばれ、骨軟骨腫はこの軟骨帽と骨とが接している部分で骨が作られたり、軟骨帽の部分が厚くなることによって徐々に大きくなります。
 骨軟骨腫は骨腫瘍全体の約4分の1を占め、原発性骨腫瘍のなかで最も多く、良性の骨腫瘍の代表的なものです。軟骨帽の軟骨から悪性腫瘍である軟骨肉腫が発生することが知られていますが、その頻度は非常にまれです。
 骨軟骨腫は1個の場合がほとんどですが、約4〜5分の1の患者さんでは多発性で、多発性外骨腫と呼ばれます。多発性外骨腫では、軟骨肉腫が生じる頻度が約1割と高いことが知られています。

「でもまぁ、骨折がなくて良かったですわ。偶然とはいえ外骨腫が見つかった事ですし。」
骨折と考えた自分のミスは棚に上げ、「炎症が強いですし、怪我自体は捻挫のきついやつ考えてもらって、、、とにかく固定しますね。」 

。。。。触れない部分にも外骨種は出来るんや。。。。 肝に銘じたのでありました。


ちなみに、この患者さん、提携先病院と連絡・提携し、良性腫瘍である事もあり現在経過観察中です。半年後にもう一度CT撮影を行い腫瘍が大きくなっているようなら手術を検討する事になっております。







カテゴリ:医療のお話 | 00:09 |