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野球を科学する   (トレーニング編 Vol 6)
 

    
               



 【2エンジンとしての筋肉】



 (骨格筋の構造)

 

骨格筋の典型は両端が腱となって細く、中央がふくらんだ紡錘形をしています。このふくらみは、「力こぶ」といわれるように筋肉短縮して力を発揮している時に顕著にみられます。
筋肉は多数の筋繊維から構成されており、筋繊維は、筋細胞とも呼ばれ、生命活動の基本単位であり、細胞核をはじめ、ミトコンドリア、高エネルギーリン酸化合物やグリコーゲンなどのエネルギー基質、各種酵素、色素などを含んでいるのです。


この筋原繊維はたくさんのフィラメントの集合体であります。フィラメントは収縮機能を持つ2種類のタンパク質から出来ており、太いフィラメントをミオシン・フィラメント、細いフィラメントをアクチン・フィラメントと呼びます。この2種類のフィラメントは相互に規則正しく配列していて、電子顕微鏡でみると明暗の縞模様となっており、この模様は骨格筋と心筋特有のものであって、両者を横紋筋と呼ぶこともあります。


この横紋筋のうち明るい部分をI帯、暗い部分をA帯、I帯の中央を走る縞をZ膜と呼び、このZ膜の間が筋肉が収縮する単位となり筋節といいます。

 

 

 (ミオシンとアクチン・フィラメントの滑走説)

 

筋肉の収縮単位はZ膜間の筋節であり、筋肉が収縮するときは、この筋節が短縮します。筋節が収縮するときは、明るく見えるI帯だけが短くなり、A帯の長さは変わりません。このような観察から、筋肉の収縮は、太いミオシン・フィラメントの間に細いアクチン・フィラメントが滑り込むことによって起こるという滑走説が、1957年にA・ハックスレーによって発表され、現在でもこの説が支持されています。


滑りの仕組みの基本的な仮定はミオシン・フィラメントの突起が周囲にある6本のアクチン・フィラメントを筋節の中央の方向にたぐり寄せるという事であります。したがって、ミオシン・フィラメントとアクチン・フィラメントとの架橋部分の重なり合い長い方が強い力を発揮出来るのです。


A・ハックスレーはカエルの筋肉を色々な長さで固定して、電気刺激によって収縮させ、その時に発生する筋肉の張力を測定しました。そして、筋節が適当な長さの時、最大張力を発揮し、それよりも長くなっても短くなっても、張力が弱くなることを報告したのせあります。


 

 

 (関節角度と発揮される力)

 

筋肉はミオシン・フィラメントの間にアクチン・フィラメントが滑り込む事によって力を発揮するのですが、この力を人体の場合、どのように知る事が出来るのか。


 骨格筋の両端は、腱を介して異なる骨に付着していて、フィラメント間の収縮する力は最終的に骨へと伝えられます。したがって、筋肉の発揮する力は、骨へ伝えられたものを測定して判断する訳であります。


身体運動を発現させる主要部分の骨と骨のつながりは関節と呼ばれる回転する機構になっています。筋肉の動きは、この関節を中心として、2つの骨の他端を近づけたり、遠ざけたりします。したがって、通常、筋肉の発揮する力としては、関節のまわりの体幹に近い方の骨を固定し、末端に近い方の骨を回転させる力を測定するのですが、一般的にこれを筋力というのであります。


このように筋肉の収縮の力は骨格を介して出現するのですが、それは「てこ」の原理に従います。


第一種の「てこ」の例は、頭部を後屈させる運動にみられ、この場合、筋肉の作用する力点と重力の作用する重点とは、支点をはさんでほぼ同じ距離にあるため、筋肉の発揮する力は重点にかかる力とほぼ等しくなるのです。


第二種の「てこ」の例は、足関節にみられ、つま先を固定すれば下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)が働き、かかとをあげる運動、すなわち体重を持ち上げる運動となります。この場合、力点は重点よりも支点から遠くにあり、比較的小さな力(ふくらはぎの筋肉の収縮)で大きな力(体重以上の力)に抗する事が出来るのです。


第三種の「てこ」の例は、肘関節を屈曲する運動にみられ、上腕の屈筋群が主となって働きます。この場合、力点が重点に比べ支点に近い距離にあり、それゆえ、筋肉は手のひらにかかる重さよりも大きな力を発揮しなければなりません。腕や脚の関節の多くは、このような第三種の「てこ」を形成しているのです。


この第三種の「てこ」で形成されているという事で、考慮しなければならない事は、まず、筋肉がわずかに収縮しても、先端は大きな動きとなって現れるという事であります。すなわち、手でボールを打つといった時、手先が早く動く必要があるのですが、この場合、腕が長い方が同じ早さの筋肉の収縮では手の動きは速くなります。ゴルフのクラブで、シャフトの長さが長くなると、同じ腕のスイングの速さでも、クラブヘッドの水平スピードは速くなりその分だけ飛距離が伸びることと同じです。


もう一つの点は、関節の角度の違いによって、筋肉が関節を介して伝達する力の能率が変わるという事です。
例えば、肘関節の伸展では屈曲した状態がもっとも大きく、伸びるにつれてしだいに小さくなります。同じ肘関節の屈曲では、肘関節が伸びすぎても、曲げすぎても小さく、120度近くでもっとも大きな力が発揮されます。それよりも曲げすぎたり、伸びすぎたりしても手先が発揮出来る力は減少してしまうのです。ですから、トレーニングする時には、重りをどこにかけるかで、筋肉にかかる負担の大きさが異なる事に注意しなければならないのであります。





      

 【摘要】

 (冬レンについて)

この時期、シーズンオフになった運動部の選手が、来院するのが増えたのでありますが、そのほとんどが「冬レン」に起因する障害であります。
社会人や大学生、体格の良い高校生は、まぁ骨格もしっかりしており、これからスクスク身長が伸びるという事もないでしょうが、小中学生のスポーツ障害には、時折眉を顰める事があります。

特に小学生の「冬レン」には、「何の意味があるの?」と、指導者に問いたい事が多々あり、来院した選手にトレーニングの内容を聞く度、「一世紀前の練習やな。」一人憤りを覚えたりするのであります。

特に、小学生の野球選手に対する「冬レン」はヒドイ!と思える事が多いのであります。

例えば、グラウンドを何周も何周も走らせたり、ダッシュを繰り返したりという練習をよく聞くのでありますが、それをさせる意味は?問いたくなります。
心肺機能を向上させる。という意味でやっているのであれば、もっと効率の良い方法がありますし、それこそ、サッカーでもさせた方が子供たちも楽しんで出来る。

過度の走りこみは、シンスプリントやオスグット。疲労骨折を引き起こしますし、将来に影響する障害も残ったりします。実際、足部の変形を起こし苦しんでいる選手を多数診ており、「その練習は精神力向上のためなんやね。」時折、皮肉交じりに言ったりするのであります。

プロ野球選手が、オフシーズンに走りこみをする。そんなニュースを目にして、それを小学生に適用するのは間違っていると思うのであります。そういう練習は骨格が出来上がった後でも十分!
切にお願いしたいものです。



               【次回続く】




            

カテゴリ:スポーツの話 | 00:09 |