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野球を科学する (トレーニング編 Vol 7)


                 

 


【2 エンジンとしての筋肉】


  (筋収縮の様式)

 

筋肉の収縮を研究する際、これまでは、筋肉の両端を固定して張力を発揮させる等尺性(アイソメトリック)収縮と一方は固定し他端に重量物を吊して張力を発揮させる等張性(アイソトーニック)収縮とが主として用いられてきました。

等尺性収縮は、筋肉の長さを変えないで力を発揮する事になり、動かない壁を押すとか、手のひらに物を乗せて保持するといった場面に相当します。


等張性収縮は、筋肉が長さを変えながら力を発揮する事になり、日常生活では床に置いてある物を持ち上げるとか、床を蹴って飛び上がるといった場面に相当します。この場合は、主動筋は短縮しながら力を発揮するので短縮性(コンセントリック)収縮といいます。


ところが、それと反対に高い所から持っている物を床に降ろすとか、床に飛び降りるといった場面でも、筋肉は衝撃を和らげるために力を発揮する事になり、伸張性(エクセントリック)収縮といのであります。


それ以外に、関節の回転速度や作用を及ぼす部分の速度を一定に保つ機構を持った装置を用いて、動く速さを規定し、その時発揮される力を測定する。この様式は等速性(アイソキネティック)収縮と呼んでいます。

 

 

 (筋収縮の様式と力の大きさ)

 

同じ筋肉でも等尺性収縮、短縮性収縮、伸張性収縮という様式によって、発揮される最大筋力は異なってきます。


まず、等尺性収縮の場合は、自分から縮まろうとして発揮する力と他から引っ張られてそれに抗して縮まろうとする力では、どちらも筋全体の長さが変わらないにも関わらず、後者の方がやや大きい事が報告されています。


短縮性収縮の場合は、短縮する速度が速いほど発揮できる力は小さくなり、その関係は双曲線で表される。他方、伸張性収縮の場合は、ある程度までは発揮出来る力は大きくなるが、それ以上では、速度に関係なく一定であるといわれています。





【摘要】

 (冬レンについて No2)

つい先日、患者さんに尋ねられたのであります。
「先生、スポーツ外傷とスポーツ障害の違いってなんですか?」
その時は懇切丁寧に答えたのでありますが、ふと、「基本的な事やけど、あまり分かってないのかも、、、」
質問した運動選手をみながら考え、この「冬レン」のところで少し詳しく書いてみようと思った次第です。

まず、スポーツ外傷とは、いわゆる切り傷や擦り傷に始まって、骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷など一般的発生する怪我の事です。この場合、応急処置が必要なのはいうまでもないのですが、治療や指示は医療機関で受けるべきでのものであります。

で、スポーツ障害は、怪我のような直接的な原因から発生するものではなく、いわゆる、体の使い過ぎ症候群というべきものであります。練習のしすぎの疲労による故障はその代表例です。

例えば、野球肘やテニス肘。野球肩、シンスプリント、ジャンパーズニーなどそのスポーツ特有の障害を起こすものであり、疲労骨折や脊椎分離症もそれに含まれるでしょうし、スパイクの不具合によって引き起こされた足部の障害だったり、フォームの悪さからくる肩や腰の障害だったり、怪我をした部分を補おうとして無理をして競技を続け、別の場所を痛めたりするのもそれに含まれるのであります。

学年が上がるにつれ、競技内容が高度になるにつれ、目指す結果が高くなるにつれ、トレーニング内容は激しく高度になり、スポーツ選手にとって怪我や故障、スポーツ障害は避けて通れない宿命のようなものです。
軽い筋肉痛から疲労骨折や関節が変形を伴うような故障まで日常的に遭遇するのであります。

スポーツ選手にとって身体のコンディショニングがいかに大切か。再起不能の障害を引き起こす前のコンディショニングづくりをどのようにおこなったらよいか。これはきわめて重要な問題なのであります。

そのコンディショニングづくりという観点からこの「冬レン」を述べてみたいのですが、野球の場合、この時期をシーズンオフといい、シーズンとシーズンの移行期になっています。

つまり、シーズンオフ=移行期であり、2つの年間サイクルをつなぐ期間なのであります。

移行期の重要な目的は、休養、リラクセーション、生理的再生の促進を図ることと、競技期の40〜50%の身体レベルを維持する事なのです。


、、、さて、一般的な「冬レン」はどうでしょう?

野球にだけに関わらず、陸上でもサッカーでも、この移行期を体力強化期間と勘違いしているのではないかと思える程、筋力トレーニングを行い、走りこみを行い、選手は体を休める事なくこなしているのであります。

つまり、一般的な、中学や高校の運動部(クラブチームも含んで)は、年間通して休養期や生理的再生を図る期間がないのでありまして、これがスポーツ障害を輩出する元凶にもなっていると感じて仕方がないのです。

チームの勝利優先よりも、選手の将来優先というのが出来ないかなぁ〜。指導者の方々、一度考えて頂きたいものです。



          【次回続く】




      
 
 



カテゴリ:スポーツの話 | 01:56 |