<< 野球のスポーツ障害 (肩の障害編 Vol2) | main | 野球のスポーツ障害 (肩の障害編 vol4) >>
野球のスポーツ障害 (肩の障害編 vol3)

回旋筋腱板損傷




投球障害肩は、腱板、関節唇および関節唇・関節包複合体や上腕二頭筋長頭腱、肩鎖関節などに損傷が生じ症状を呈するのですが、通常は単一部位ではなく複数部位の損傷が生じている場合が多く、肩の痛みの原因として、腱板損傷は非常に多く見られます。

回旋筋腱板は肩関節に安定性をもたらす、筋肉および腱の複合体、肩甲下筋(けんこうかきん)、棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、小円筋(しょうえんきん))のことです。
腱板損傷は擦り傷のような腱板炎の状態から、部分断裂から完全断裂に至るまで広い範囲が含まれています。








腱板損傷は、明らかな外傷がなくても次第に発生してくることが多いのですが、スポーツ中の怪我や交通事故などの外傷を契機に生じることがあります。

腱板損傷が発生しやすい理由は、肩関節の解剖を考えると理解できます。腱板はいわゆる球状関節の範疇に入り、肩甲上腕関節に安定性を与えています。
肩関節の運動方向により様々なストレスが、腱板を構成する腱および筋肉に加わります。








腱板において最も損傷を受けやすい部位は、肩峰の下にある肩峰下腔と呼ばれる狭い空間を通過しなければならない棘上筋腱であります。肩峰下腔が狭くなって腱板損傷を引き起こす原因については、

∞板炎(腱の炎症、腫脹)
滑液包炎(滑液包―肩峰下腔においてクッションとなり、また腱板の動きを滑らかにするー肩峰下滑液包の炎症と腫脹)
8峰あるいは鎖骨から下に向かって伸びる骨棘
じ朕佑慮峰の形の変異

などがあります。








肩峰下腔が狭くなればなるほど、腱板が挟まれるようになるインピンジメント症候群を起こします。
そして腱板が骨に挟まれ擦られるほど、腱板は刺激され腫れるようになります。この悪循環が結果として、腱板を損傷することになります。
この過程が繰り返されると、腱板の強度は低下し、そこに通常の力が加わることにより完全断裂を引き起こすことになります。








断裂は周りの筋に引っ張られ次第に大きくなります。特に高齢者では、腱の治癒能力が低下しており小さな断裂でも直りにくくなります。以前は50肩として取り扱われていた症例も、MRIなどの検査機器の発達により、腱板損傷として取り扱われるようになり年齢とともに進行します。
このように肩関節が緩くなったことを肩関節不安定症と呼びます。不安定症は腱板に加わるストレスを増大し、またインピンジメント症候群や腱板断裂を引き起こすことがあります。








腱板損傷も保存的治療が基本であり、インピンジメント症候群と同じように関節可動域と腱板機能の改善と肩甲骨との協調性の改善にあります。

もちろん症状が強い時にはノースローが必要になり、過角形成など投球フォームの不良を認める場合が多いので、体幹の回旋や下半身の使い方を指導する事は必要であります。保存療法には反応しやすく、治癒する可能性が高いので若い選手には、外科的手術ではなく、あくまでも保存療法を第一とすることが望ましいと思われます。

しかし、一方、完全断裂を起こした場合は、関節窩鏡などで腱板縫合手術を行う方が復帰の時期も考え効果が高いようです。


















 
カテゴリ:スポーツ障害 | 07:44 |