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陸上競技のスポーツ障害 vol2

アキレス腱障害(腱炎、腱周囲炎、腱付着部炎)



陸上競技の選手はもちろんですが、最近の健康ブームを反映してか中年以降のジョギングやウォーキングを習慣にしている人にもよくみられるようになりました。
ランニングや跳躍動作による下腿三頭筋への負荷の増大、腱の変性(加齢変化)、筋力や柔軟性の低下、回内足や偏平足なども発症要因となります。


〈症状〉
ランニングや跳躍時の疼痛が主症状であり、損傷部の腫脹がみられる事が少なくなく、腱症や腱周囲炎は踵骨付着部より3〜5cm付近に発生しやすいようです。

 


     
 

〈発症メカニズム〉

腱症は腱に加わる張力により腱繊維に微細損傷が生じたものであり、腱周囲炎は足関節底背屈の反応により炎症を生じたものであります。付着部炎は踵骨後方隆起とアキレス腱との摩擦や衝突により間に介在する滑液包炎が起こり、進行すると腱にも損傷が生じるのであります。

ストレスの反復によってアキレス腱に小さな断裂や瘢痕が生じて変性し、アキレス腱の炎症が周囲のパラテノンに及んで慢性的な炎症・肥厚をきたして腱と癒着する場合もあります。




           



 
〈好発年齢・レベル・診断〉

いずれも幅広い年齢、レベルの選手に発生しており、短距離から長距離まで様々な種目で発生がみられます。
腱実質に腫脹や硬結が存在すれば腱症であり、腱周囲炎はパラテノンの腫脹が足関節の底背屈により移動させられます。

アキレス腱部の腫脹、疼痛、圧痛、熱感などを感じ、進行すると足関節の運動障害(背屈障害)や歩行障害を起こします。足関節を動かした時、アキレス腱が軋むような摩擦音を生じる場合もあります。





 


〈治療・リハビリテーション〉

腱周囲炎では急性の時期にはアイシングや患部の安静により慢性化させない事が一番重要であります。パラテノンの腫脹・肥厚から腱との癒着が起こると難治性になり腱症を併発することもあります。
腱症では腱繊維の微細断裂の修復を待ちますが、硬結の切除や部分断裂を形成する事があり、広範囲の縦断裂がみられると修復されにくくなります。

  
腱周囲炎・腱症では下腿三頭筋のストレッチを十分に行います。腱症では急性期を過ぎて疼痛が軽減した頃より伸長性訓練が推奨されます。これは階段のような段を用いてつま先荷重し足関節中間位から徐々に背屈位まで踵を下ろしていくものです。これにより下腿三頭筋の筋修復合体に対する伸長性負荷が加えられます。

腱付着部炎ではシューズやスパイクの踵部を持ち上げ、腱と骨との衝突を緩和させます。下腿三頭筋のストレッチングは患部の腫脹が強い時には無理に行わせないようにします。腱周囲炎の急性期の復帰率は100%であり、軽傷例は1週間で、通常2〜3週間で復帰できますが、腱炎の軽傷例は1〜2ヵ月、重症例は3〜6ヵ月復帰に要する場合があります。






カテゴリ:スポーツ障害 | 01:20 |